被災地では女性への配慮が後回しで困っているらしい・・・非常時こそ動ける機関などがあると助かるのだがなかなか大規模な災害になると難しいのか・・・
震災などの非常時、女性への配慮は後回しにされがちになる。東日本大震災でも、避難所での生活が長期化する中、プライバシーや防犯などの面で悩む女性は多い。専門家は、生活に根差した女性の声こそ、住民全体の暮らしやすさにつながると指摘する。避難所の現状はどうなのか。今月上旬、女性記者が取材した。
<気仙沼>乳幼児の世話気兼ねや我慢
宮城県気仙沼市の階上中は、体育館のステージ脇の通路を布で仕切り、女子更衣室を設けている。各地の避難所では女性から着替える場所がないとの声が出ている。階上中では震災から1週間ほどで設置したという。
気になったのは仮設トイレだった。男女共用のため、抵抗感を持つ女性が多いだろう。
10日間も着替えができなかったという会社員女性(37)がいた。使える水が限られているため、洗濯がままならない上、支援物資にサイズが合う下着がないという。
この女性は「避難生活は不便が当たり前。夏だったらもっと大変だった」と割り切るように話していたが、本当はつらいに違いない。
気仙沼市総合体育館には、乳幼児を抱える母親や家族が少なくない。ミルクやおむつは、支給されたり、母親同士で融通し合ったりして、確保できているというが、気兼ねや我慢も多いようだ。
4歳の娘を持つ気仙沼市神山の会社員女性(33)は「子どもが騒いだ時、他の避難者から『うるさい』と言われた。申し訳ないと思う半面、ストレスを感じた」と打ち明けた。
避難生活する住民同士が、不満をため込まないよう、乳幼児のいる世帯は同じ部屋に集めるなどの工夫が必要だろう。(丹野綾子)
<宮城・南三陸>同性スタッフ要望受け入れ
宮城県南三陸町の志津川小では、避難所を運営する「志津小自治会」のテーブルに、女性スタッフ3人が並んでいた。
自治会は住民や小学校教諭で組織され、メンバーのほぼ半数を女性が占める。生理用品や下着など、男性には話しにくい要望も、女性のメンバーには伝えやすいだろう。
ボランティアをしていた志津川高3年佐藤汐華さん(17)=南三陸町志津川五日町=はそれでも「洗濯や化粧などをしたくても、避難しているということで我慢したり、遠慮したりして言い出せない被災者は多いと思う」と心配した。
体育館脇には、医師や女性看護師ら計約20人が常駐する「医務室」が開設され、体調の悩みなどを相談できるようになっていた。
たくさんの人が暮らす避難所は、周囲の目や耳が気になることも多い。医務室のように悩みや要望を女性だけで話せる部屋があれば、声を上げやすい。(橋本智子)
<仙台、東松島>出入り自由で夜間は不安も
仙台市若林区の六郷中の体育館で、防犯面を心配する声を聞いた。
若林区の主婦(50)は「体育館への夜の出入りが、基本的に自由になっている。住民の顔が分かる人が入り口にいないと不安だ」と語った。
屋外にある仮設トイレは、体育館裏の人目が届きにくい場所にあった。日中でも女性が1人で使うのは怖いのではないだろうか。
各地で避難所が集約・再編されている。集約を機に、こうした防犯面の課題をあらためて洗い出し、対策を強化すべきだろう。
東松島市の鳴瀬一中には更衣室がなかった。会社員女性(54)は「トイレで着替えている。更衣室が欲しい」と訴えた。
3日には化粧水が配布された。化粧品などが津波で流された女性も多い。
ある女性は「避難所は空気が乾燥していて、肌がかゆくなったり、しわが目立ったりして悩んでいた」と言う。女性にとっては、うれしい支援だった。(佐久間緑)
◎NPO法人「イコールネット仙台」代表理事宗片恵美子さん(61)に聞く
避難所で女性が暮らしやすくするために、何が求められているのか。女性の視点で防災対策の充実に取り組む仙台市のNPO法人「イコールネット仙台」の代表理事宗片恵美子さん(61)に聞いた。
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災害復興は、男性の仕事だという感覚が根強いが、妊娠や育児、親の介護など、生活に深く関わっているのは女性だ。
避難所の運営に女性が責任者として加わり、積極的に行動してほしい。女性の意見をくみ上げる仕組みもつくる必要がある。女性の視点は障害者や高齢者、子どもをはじめ、みんなが暮らしやすい生活環境につながる。
避難所では、男女別の更衣室や洗濯物干し場、授乳室、子どもたちが周囲を気にせず遊べる場の設置といった工夫が欲しい。互いのプライバシーを尊重することで、より良い人間関係を築ける。
心のケアも大切だ。女性だけで不安やつらさを、率直に言い合える空間が必要だろう。女性は家族を優先し、自分のことを後回しにしがち。ストレスから虐待に走る母親もいる。気持ちをため込まないでほしい。
阪神大震災では、避難所でセクハラやDV、性犯罪などの問題が起きた。男性が家や仕事を失ったことでストレスがたまり、矛先が女性に向かう可能性がある。
被災時はさまざまな悩みについて、声を上げにくい。各避難所に女性のスタッフを置き、総合的に相談できる窓口を整えるべきだろう。
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